はじめに：ft_irc プロジェクト概要

本プロジェクト ft_irc は、C++98規格に準拠し、I/O多重化を用いたノンブロッキングなIRC（Internet Relay Chat）サーバーをスクラッチで実装するものです。

RFC 1459 プロトコルに基づき、複数のクライアント間でのリアルタイムなメッセージ中継、チャンネル管理、およびユーザー認証機能を提供します。

システムアーキテクチャ

本システムの全体像と、開発対象の範囲（スコープ）を以下のコンテナ図に示します。

アーキテクチャの解説

この図は、システムの構成要素とそれぞれの責務、および通信の流れを表しています。

1. 開発スコープと責務

ft_irc Server (紫色🟣):

• 本プロジェクトで開発する対象です。

• 主な責務: クライアントからのTCP接続の管理、受信したIRCコマンドの解析、適切なレスポンスの返却、および他のクライアントへのメッセージ中継（リレー）を行います。

• 技術制約: C++98、シングルプロセス、ノンブロッキングI/O (poll()等) を使用します。

IRC Client / Raw Socket Tool (青色🟦):

• サーバーを利用するための外部アプリケーションです（開発対象外）。

• 一般ユーザーは irssi や LimeChat などの標準的なIRCクライアントを使用します。

• 開発者やレビュワーは、netcat (nc) や telnet を使用して、生のプロトコルメッセージを直接送受信することで動作検証を行います。

2. 通信プロトコル

• 全ての通信は TCP/IP 上で行われます（デフォルトポート: 6667）。

• 通信内容は、RFC 1459等で定義されたテキストベースのコマンド（例: NICK, JOIN, PRIVMSG）とその応答コードによって構成されます。

• サーバーは、異なるクライアントからのリクエストを非同期に処理し、チャットシステムとしての整合性を保ちます。

3. ユーザーと利用シーン

• 一般ユーザー: GUI/TUIクライアントを通じて、直感的にチャット機能を利用します。

• 開発者 / レビュワー: プロトコルレベルでの挙動を確認するため、CLIツールを用いてエッジケースやエラーハンドリングのテストを行います。