C++ キャスト総合学習ガイド

C++の型変換について、基本から応用までをインタラクティブに学びます。

C++ Module 06 学習ノート:キャストと型の探求

C++の多様な「型変換(キャスト)」に焦点を当て、コンパイル時と実行時における型の扱い方と、それに伴う強力さ、そして危険性について学びます。このガイドでは、各演習で登場した概念を深掘りしていきます。

C++のキャスト徹底解説:CスタイルからモダンC++まで

C言語スタイルのキャスト (非推奨)

(type)valueという形式は、意図が不明確で危険なため、現代のC++では避けるべきです。

static_cast

コンパイル時に安全性が判断できる、論理的な変換に使います。数値型間の変換などが典型例です。

デモ:数値変換

スライダーを動かして、`double`から`int`への変換を試してみましょう。

double d = 3.14;
int i = static_cast<int>(d); // 結果: 3

dynamic_cast

実行時に安全性をチェックしながら、クラス階層のダウンキャストを行います。

デモ:型識別

Base* p = new DerivedA();
if (DerivedA* da = dynamic_cast<DerivedA*>(p)) { ... }

reinterpret_cast

ビット列を全く別の型として再解釈する、低レベルで危険な変換です。

const_cast

変数の`const`性を変更します。`const`非対応の古いAPIとの連携などで限定的に使用されます。

キャストとエンディアン:メモリのバイト順が型変換に与える影響

`reinterpret_cast`はメモリ上の生のバイト列を扱うため、エンディアン(バイト順)の影響を直接受けます。

デモ:エンディアンによる違い

int value = 0x12345678; を `char*` で解釈した場合の先頭バイトを見てみましょう。

ビッグエンディアン

12345678

先頭バイト: 0x12

リトルエンディアン

78563412

先頭バイト: 0x78

reinterpret_cast の具体的な利用シナリオ

`reinterpret_cast`は危険ですが、低レベルな操作には不可欠です。ここではその具体的な利用シナリオをいくつか紹介します。

カスタムメモリアロケータ

確保した生のメモリ領域(`char*`)を、特定のオブジェクトの配置場所として解釈し直すために使用します。

ハードウェアアクセス

特定の物理メモリアドレス(数値)を、ハードウェアレジスタを操作するためのポインタに変換します。

シリアライズ

ネットワークで受信したバイトストリームを、特定のプロトコルヘッダ構造体として解釈するために使用します。

配置newとカスタムメモリ管理コード解説

プログラマが自前で確保したメモリ領域に、オブジェクトの生成と破棄を直接コントロールするテクニックです。

デモ:配置newのステップ

1. `alignas`と`sizeof`でメモリ領域(buffer)を確保
2. `reinterpret_cast`でbufferを`MyObject*`に変換
3. 配置newで`MyObject`のコンストラクタを呼び出し
4. `obj_ptr->~MyObject()`でデストラクタを明示的に呼び出し
buffer